大阪市鶴見区わらべ学童

指導員つれづれ
第100話
手本と見本

今回のリーダーズキャンプに向けて、各学年で話し合いを持ち、学年の目標を決めました。

4年生の目標のひとつに「3年生の見本になろう!」がありました。

彼らは「手本」ではなく、あえて「見本」になろうと目標を立てたのです。


結論から言うと、子ども達の成長には、「手本」も「見本」もどちらも欠かせないと思っています。

まずは、子ども達に「正しさ」を伝えるために、「手本」が絶対必要です。

子ども達は、一番身近な存在である家族から、特に親御さんを「手本」としながら成長します。

生活の中の様々な習慣や技術、話し方や癖に至るまで、純粋に「へぇ〜!そうしたらいいのか〜!!」(もちろん赤ちゃんはこんなこと言いませんが・・・笑)と、なんでもマネするようになります。

ですから、「これは、良いお手本です。マネしましょう!」や「これは悪いお手本なので、見なかったことにしましょう!」は通用しません。

良かろうが悪かろうが、まさかお手本が間違っている事もあるなどと疑うこともなく、自分の中に取り込んでいくのです。

就学前の段階に進むと、少しずつその「手本」を、取捨選択するようになります。

幼稚園や保育園に行くようになり、「うち」「そと(他所)」の違いがわかるようになってくるので、その場面に応じた「手本」にしたがって行動するようになるためです。

「各家庭のやり方」と「一般的なやり方」が大きく違えば、戸惑う子も出てくるでしょう。

小学生になると、内面や思考の成長とともに、さらに複雑で高度な選択をしながら、少しずつ自分の中に価値観を作っていきます。

思春期が近づくに連れ、態度もだんだん反抗的になり、他者から価値観を押し付けられることに対しては、事のほか嫌悪感を示します。

きっと、この時期は自分の価値観を作り直している最中なので、ゴチャゴチャ言われるとその作業を邪魔されたように思うのでしょう。

この時期を順調に過ぎると、その後の人生を左右するような、かなりしっかりした価値観を持つ子もいます。

そうなると、その価値観という物差ではかりながら、様々な「手本」を、ひとつのサンプルとして、選択するようになります。

この「見本」には、空中にスプーンごと持ち上げられたパスタのようなものも、実物より美味しく見せようと、大きく誇張されたハンバーグのようなものもあることを彼らは知っています。

またそれが、自分にとって本物か偽物か見抜こうとするようになります。

誕生からここまで、約15〜20年・・・人生80年と言われる中、その4分1足ほどの期間で、価値観を構築し、生き方を決め、その3倍を生きていかなければならないのです。


ルールを守る正しい大人を手本とした子は、当然の事としてルールを守ります。

たくさんの友人に囲まれている大人を手本とした子は、仲間としっかりつながろうとします。

思いやりが豊かな大人を手本とした子は、自然と想像力を働かせ、相手の気持ちを推しはかり、その立場に立って考えようとします。

その反対だって、また然り・・・。

私たち「大人の責任」の根本は、「子ども達に手本を示すべき存在」にあるような気がします。

by.Sarusen


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