第102話 |
サマーキャンプ2011が終わって早1週間。
参加された保護者の皆さん、OBさん、本当にご協力ありがとうございました。
「ぴかぴかNew〜s」にも書いた通り、わらべ学童のサマーキャンプのこだわり「子ども達の本能のスイッチを押す」事に新たに加えた「共同作業」について、今回は触れたいと思います。
まずこの「共同作業」の見本となって下さったのは、キャンプに参加したお父さん方でした。
今年は、春から親子そろっての顔合わせがほとんどできないまま迎えたサマーキャンプでしたが、同じ空間に居合わせたお父さん同士、一緒にテントを立てて頂いているうちに、初対面の緊張が少しずつ解け、立て終わった後は、「いや〜お疲れ様でした」と、にこやかに声を掛け合っておられたように見えました。
「共同作業」を進める中で、大変さやワクワク感を同じグループ内でシェアし、分かち合っておられたのだと思います。
さすがに大人の方々ですから、短時間でそれができますが、子ども達には何よりも繰り返すことが大切です。
班長を呼ぶ→次の作業の指示を出す→班で行動する→元の場所に戻るという一連の流れを、実にしつこく、何回も何回も繰り返しながら行動の「流れ」を作ります。
うまくいかなければ、班員はいつまでも戻らず、遊ぶ時間は短くなっていきます。
イライラしようが、厳しく言おうが、絶対にまとまりはできません。
そこで、各班にそれぞれの工夫が生まれます。
ある班は、マンツーマンで一番行動が遅くなる1年生にサポートをつけます。
ある班は、遅くなりがちな子だけに、集中的に声をかける担当者を置きます。
初めは口だけで指示をしていた子が、だんだんと距離を詰め、最後には手を添えるように行動するようになります。こうして少しずつ、まとまりのある班になってゆくのです。
そんな上の子達だって、1年生の時は誰よりもお世話を必要とし、上の子の手を焼かせていたのですから、今の1・2年生だって、将来はまとめる苦労を体験しながら、「人を大切にする気持ちの表現者」に、成長していくことでしょう。
そんな「共同作業」には、もう一つ意味があります。
それは、「体験の共有」です。
同じ作業を体験することを通じて、子ども達は思い出を共有することができます。
忘れかけていた事柄(部活動のしんどさや、修学旅行のワンシーン等など)を、旧友との話の中で鮮明に思い出すことができた経験は、みなさんがお持ちのことでしょう。
一人一人の思い出は、仲間と共有することで輝きを増し、不安や困難に立ち向かう糧となります。
型枠にはめるための「共同作業」は色褪せもしますが、それぞれがあみ出した方法で、自主的にまとまる「共同作業」は、個人の主体性をも引き出す力があると信じています。
「うちの子、ちゃんとやってるんやろか・・・」と、気をもみ、とても心配されていた親御さん達は、どうかその思いをぐっとこらえて、優しく見守ってあげていただけたらと思います。
それは教えられて身に付くものではなく、リアルな体験を通じてのみ習得できる術なのですから。
by.Sarusen