大阪市鶴見区わらべ学童

指導員つれづれ
第106話
リアルなリスク

 恒例の4年生旅行が無事に終了しました。

「4年生にとっては未知の世界」に繰り出し、例年同様「4年生らしい失敗」をたくさんして、「4年生ならではの成功体験」もがっちり手にした2日間の旅行でした。

例年参加している指導員は、どうしても過去の4年生旅行と照らし合わせたり、比較したりしてしまうもの・・・そんな中で、近年気になっていたのは、4年生の「臆病さ」でした。

プログラムが計画通りに進んでいる時は、いつも以上にテンションも高く、堂々と楽しそうに行動できるのですが、予定変更が必要な場面、特に時間と費用に関わる何らかのイレギュラーな事柄・・・そう、一見範囲が限られているように見える事柄が起こった途端、借りてきた猫どころかお地蔵さんのように動かなくなってしまう場面に出くわすことが増えてきたのです。

そんな時、決まって「焦り」に駆られ、「諦め」に支配され、早い段階で「規模縮小」を判断してしまう4年生を、指導員は励ましたり助けたり、時には突き放したりしながら、自主的な活動を阻害しないように心がけてきました。

その一方で、「何をそんなにビビってるん?」と、正直「イラッ!!!」と来てしまうこともしばしばありました。(笑)

今回の旅行でも同じような場面があり、知恵を尽くす前に、早々と白旗を揚げてしまったのですが、もう少し踏み込んで、「臆病の原因」を考える必要があるのではないかと感じました。

原因の1つは、生活の中でリアルに経験を積む場面が減りつつあるのではないかという点です。

少子高齢化社会の中で、たくさんの大人の目に見守られながら大きくなっていく子ども達。

様々なメリットの裏に、問題に直面した子どもが解決力を身につけようとしている矢先に、周りの多くの大人達が手を差し伸べ過ぎてしまい、「問題解決」の直前に、実は問題を「回避」させてしまってはいないだろうか・・・と思うのです。

OBと話していると、当時の子どもと比べて、「現在わらべに通う子ども達の方が賢いと感じる事がある」んだそうで、それはきっと、問題を回避するための「知識」をたくさん持っているからだろうと思います。

しかしその「知識」は、リアルな経験の中で「実力」に転化してこそ、本当の値打ちがある気がしてなりません。

さらにもう1つの「臆病」の原因は、「失敗」というリスクに対する恐れであることも感じます。

先輩の4年生達だって、きっと「失敗は大嫌い」だったに違いありません。

でも彼らは、問題に直面した時、「当たって砕けろ!」とぶつかっていく度胸を持っていました。

そして本当に「当たって砕けた・・・」事も、たくさんありました。(笑)

そこには、「同じ立場の仲間たちの存在が何よりも大きかった」とOB達は口をそろえます。

思い返せば、4年生旅行は上の子達の大きな関心事でもあり、わざわざ見送りやお出迎えに顔を出す子も多くいました。

いつの頃からか、自分の事でいっぱいいっぱいになる子も増え、同じ4年生同士であっても、相手を気遣うより先に、責め言葉が出てしまうようになり、「人間関係が希薄」とまでは思わないものの、何やら寂しさを感じることも増えました。

このように子ども達が、世相を反映して何やら良からぬ方向へ進みつつあることに気付いた今、私たち大人は、それを悲観するだけで終わらず、何をどうすべきか考えるチャンスであることは間違いありません。

今後の4年生旅行の取り組みについて、「リアルなリスク」をキーワードに、密かに作戦を練って行こうと思う指導員なのでした。

by.Sarusen


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