大阪市鶴見区わらべ学童

指導員つれづれ
第44話
冬来りなば、春遠からじ

つい先日、学童の鉢植えに色鮮やかな青い花が咲き、「春近しっ!」とテンションも上がってきて、新しく設置した「SNAPS」のコーナーの初回に貼り付けるやいなや、また急に寒くなって、雪まで降るし・・・ついつい背中を丸めながらため息が増え、常に元気を持て余し気味の子ども達に、「なぁなぁ〜・・・今日は公園行かんでもいいやんかぁ〜」なんて恨めしそうに言っては、大ブーイングを食らうこともある今日この頃。

お休みをいただいて、バイクにまたがり、一路、四国を目指しました。

2月を目前に山々はまだ冬の装いをまとい、海を渡って来る風は「寒い」を通り越して「痛い」のですが。

もちつき大会の時、バイク乗りのお母さんに、「バイカーは、誰よりも早く季節を感じることができるんッスよ!」なんて豪語したものの、まだまだ春の気配はどこにも感じることはできません。

今回の目的は、人生の冬を経験しているさなかにある仲間に会って、「冬来りなば、春遠からじ」と伝えることです。

ただ、淡路島辺りを走っていると、相手に掛ける言葉をなにも持ち合わせていないことに気付きました。

考えれば考えるほど、的確な言葉が1つも浮かんできません。

「う〜ん・・・」唸り声しか出てこず、困り果てた状態で、目的地に到着してしまいました。

10歳ほど年上の人生経験も豊富な仲間に、なんて言おう・・・直前まで悩みましたが、限られた時間の中で伝えることができたのは、「仲間のことを忘れないでほしい」と、「あなたを大切に思っています」の二つだけ。

かなり不甲斐なさを感じながら、「でも、それしかなかった」と、自分に言い聞かせながら、もと来た道を戻ってきたのでした。

家に着いて改めて思ったのは、親友であれ、家族であれ、親子であれ、苦しさや、孤独や、病気や、そんな冬の只中にいる人に、なり替わってあげることはできないけど、シンプルに「あなたを大切に思っています」と、伝えることはできるということでした。

それは、「冬が来た・・・」と、背中を丸めて寒そうに歩いて行くより、「冬が来たということは、つぎはいよいよ春だな♪」と、巡る季節に思いをはせながら、期待をもって大変な季節を乗り切る原動力になって行きはしないだろうか・・・いや、それこそ「期待を込めて」そうなってほしいものです。

目の前の子ども達は、各家庭で充分に愛され、「自分は大切にされている」という実感をもっているからこそ、存分に楽しみ、大きな声で笑うことができ、放課後の生活を文字通り「謳歌」しています。

今、しっかりと基礎体力をつけ、来るべき冬に備えているのかもしれません。

沈んだ気持ちを、晴れやかに切り替えるのに必要な、「遊び」を通じた楽しさの経験。

友達や仲間とじっくり付き合い、人間関係をスムーズにする「喜びを共有する」経験。

等身大の自分を愛するのに必要な、「自己肯定感」や「達成感」の経験。

そして、「つぎは春が来るんだよ〜!」というポジティブさ。

そう考えると、学童期の生活が、より一層、重要なものに思えてならないのです。

そんな彼らの「冬支度」を、しっかりとサポートしていきたいと思いました。

by.Sarusen


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