第52話 |
先週末、3年生以上の52名が、「リーダーズキャンプ09」に取り組みました。
数々の難所(罠?)や頑張りどころを用意して、自称「準備万端!」の子ども達を、迎え撃つ構えで臨む指導員と、開所時間前にもかかわらず、テンション高く登所してくる子ども達の「真剣勝負」の始まりです。
キャンプ場に到着後、スタッフさんへの挨拶がすむと、坂の上のサイトまでの荷物の運搬が始まります。
重い備品は5・6年生が、各自の荷物は3・4年生が・・・と、誰に言われるでもなく分担し、整然と短時間で準備を整えていました。
子ども達の「やれることは自分ですんねん!」という気持ちが、ガンガンこちらに伝わってきました。
昼食のメニューは、ハヤシライスです。
材料を切り終わり、薪割りを済ませると、5・6年生はチーム対抗の「火起こし合戦」、3・4年生は「ハヤシライス対決」の始まりです。
経験もあり、一定のスキルを持った6年生を中心に作戦会議をした後、かまどの前にスタンバイします。
合図をすると、それぞれに組み上げられた、かまどに火を入れます。
すぐに火の手があがったチーム、なかなか火がつかず焦るチーム、小さく燃え始めた火を、じっと睨んでいるチーム・・・横の班の様子も気にしながら、飯盒を見据えています。
「できた!」と歓声が上がり、各チームが1つ目の飯盒を炊き上げたタイミングで、あたりには3・4年生が頑張っているハヤシライスのいい〜香りが漂い始めました。
「あ〜腹減ったなぁ・・・」「もうちょいやから、気ぃ抜いたらあかんで!」「これ、イケてんちゃう?」なんて言い合いながら、交代で灼熱のかまどの前に立ち、木をくべたりウチワで扇いだりしています。
優勝は、34分という好成績で飯盒4つを炊き上げたCチーム。
3合×3つで良いところを、3・4年生が間違って飯盒を4つにしてしまったCチームは、「アタシらがなんとかしたろう!」とリカバリーを目標に協力し合い、見事に逆転で勝利して、鼻高々です。
悔しかったのは、はじめに雑然と木を組んでしまい、何度もやりなおしたBチームでした。
これから楽しいお昼ご飯だと言うのに、笑顔が消えてしまうほど落ち込んでいました。
毎年やっている火起こしには自信があったのですから、無理もありません。
メンバーを呼んで、いくつか具体的にアドバイスをし、「何が悪かったか、考えてみ。夕食の時はリベンジしよな♪」と話しました。
予定を少し遅れて食べたハヤシライスは、3・4年生の自信作です。
試しに全チームの味見をさせてもらうと、あら不思議〜♪ 材料は全く同じで、様々な条件も同じであるはずなのに、各チームで味が違うのです。
「どのチームが1番おいしい?」3・4年生が嬉しそうに聞いてきます。
「そんなもん!ウチのチームが1番にキマッとる!!」と、意地悪を言いながら、甲乙つけがたい絶妙なおいしさに、ついついほくそ笑む指導員でした。
昼食後、初めて30分も休憩時間をとって、サイトの周囲で遊んだ子ども達は、続いて「おはし作り」の工作に挑戦します。
竹を削って細くしていくのですが、なかなか思い通りにいきません。
慣れないナイフを使った作業は、緊張感も高めます。
1時間ほどで時間切れとなりましたが、丁寧に実用的な細さを目指した3・4年生と、「手が痛かったし、まぁええか〜♪」と、ある程度の作業で終わりにした5・6年生の特徴の差がおかしかったです。(笑)
夕食作りの前に、やたらヒソヒソ話し合っているチームがありました。
お昼の「火起こし合戦」で、大敗したBチームでした。
じっくり時間をかけて、丁寧に木を組み終わっても、なかなかかまどから離れようとしないメンバー達、その真剣な表情には、正直、惚れぼれしました。
全チームが材料を切り終えたところで、ついに第2回戦がスタートしました。
真っ先に「よっしゃ〜!」と叫んだのは、なんとBチームでした。
「4ついっぺんにいくで〜!飯盒の場所変えていこう!」と、後を追うのはCチーム。
AチームとDチームだって負けてはいませんでしたが、次々炊き上げていくBチームは、なんと18分で4つの飯盒の炊飯を終えました。
メンバーと握手を交わす室長の嬉しそうな顔、周囲の子も「早過ぎやろ〜」と驚きながら、称賛を惜しみませんでした。
それが、どれほど大変ですごいことか、一番分かっているのは、勝負したライバル達なのです。
また、Bチームの3・4年生も大喜びで、料理の仕上げに没頭していきます。
刺激を縦横に受け渡しながら、少しずつ子ども達が変わり始めていることを感じました。
気がつくと、初参加の3年生たちが、だんだん自分で出来る作業を探し始め、上の子の指示にもしっかり耳を傾けるようになっていました。
4年生は自分から、テーブルの上を片づけたり、ゴミ拾いをしたり、チームだけでなく、全体にもプラスになる事を探しながら動くようになりました。
塩加減を間違ってやたら辛かったり、おかわりのし過ぎで他のチームにご飯を分けてもらったりしながら、楽しい夕食が終わりました。
シャワーの後のミーティングでは、4年生が口々に去年との違いを話し、3年生も頑張った実感の分だけ、胸を張って発言し、みんなから拍手されていました。
そして、5・6年生は、「もっと!」と、さらに高いレベルを目指していきたいと語っていました。
「これではペナつけられないですよね〜」と苦笑いの、自称「意地悪指導員」たち。
それぞれの子ども達の頑張りと成長を確認して、リーダーズキャンプでの勝負は終わりました。
「こんな多人数で、連動して作業ができるなんてすごいなぁ・・・」
「上の子から継承されていく力って、年々パワーアップしてきてますね♪」なんて成果を確認しながらの後片付けは、指導員へのプレゼントだとさえ思えました。
ご協力していただいた皆さん、1・2年生の保護者の皆さん、本当にありがとうございました。
どうかこの成果を、サマーキャンプで直接確認していただけたら、子ども達も大変喜ぶかと思います。
わらべの「熱〜い夏」が、いよいよ始まろうとしています。
by.Sarusen