第66話 |
12月に受けた研修で講師が、現代社会から「ヨソユキ」が欠如してきていると指摘しておられ、なんとなく頭の隅に残っていました。
家内とスキーに出かけた時、なるほどな〜と思う事がありました。
毎年同じ民宿に泊まらせていただいていますが、今回は大学生らしきグループ2組と同じ別館に1泊することになりました。
1組は男女2名ずつのグループ、大変静かに和気あいあいと過ごしておられ、部屋に戻るとわずかに笑い声が聞こえる程度でした。
もうひと組は、男性8名、女性4名の大所帯。
夜中まで大声で話しをしては笑い、無関係の私たち夫婦まで付き合わされる羽目になりました。
くつろぐのが悪いとは思いませんが、他の泊り客のことが全く眼中にないかのような振る舞いは、大変迷惑になる事をご存じないようでした。
「若い時って、俺らも含めて誰でもそんなもんかもな〜」と言う私に、家内が「もう1組の人達は、ちゃんとしてはったで。少ないかもしれんけど、できる人もおるねんで〜」と一言。
自宅を一歩出たら、もうそこはヨソユキの世界であり、他人と共存する空間です。
それは、「他人行儀でよそよそしい」ということではなく、「節度をもった行動が必要とされる」ということではないでしょうか。
夕食時、宿の小学1年生になる孫さんが、「どうぞ召し上がって下さい」と、お盆にのせた前菜を届けてくれました。
自分の自宅が民宿であり、シーズンになると毎晩見ず知らずのお客さんたちがやってくる環境は、大変特殊と言えるでしょう。
しかし、彼女はお客さんが出入りする座敷をちゃんとヨソユキと認識しているようで、その立ち居振る舞いと所作は、おかみさん達からきちんと教えられている事を伺わせました。
おそらく、禁止や規制をほとんどせずに教えられたのでしょう、彼女はお手伝いがとても楽しそうで、そして自然に振る舞っているのに、とても1年生とは思えない大変しっかりした印象を受けました。
来月には、5・6年生をヨソユキの世界に連れ出す、毎年恒例の卒所旅行があります。
大所帯だからこその配慮、旅行とはヨソユキであるという自覚・・・禁止や規制という手段を用いずに、子ども達と一緒に考えてみたいものです。
by.Sarusen