第76話 |
先日の保護者会で、リーダーズキャンプに絡めて、『子どもにあえて失敗を経験させることの大切さ』を、お話させていただきました。
最近は特に、子どもに楽しいことや楽なことを経験させることが、良いことだというような風潮があるように感じることが多くなってきました。
また、子どもの自主性を尊重することが大切なことだと、子どもに大切な判断を任せる風潮もあるように思います。
しかし、そういう風潮には、時に大変な危険性が潜んでおり、それについては、すでに第53話「選択肢」でも書かせて頂きました。
親御さんへも、成長段階にある子どもに応じた対応が必要で、子どもの成長段階をしっかり把握して、様々な対応をしていきましょうと、常々働きかけを行っています。
子どもが大人になっていく過程の中で、必ず経験することの中には、辛いこと、苦しいことなど、よく「壁」と表現される場面があります。
その時子どもは、その壁を勇ましく「ぶち破る」のか、積極的に「乗り越える」のか、しっぽを巻いて「逃げ出す」か、タイミングをずらして再挑戦も込みで「やり過ごす」のか・・・と、知恵を絞って、対応する局面を迎えます。
親御さんの本音としては、できれば「ぶち破る」か「乗り越える」かして欲しいし、「逃げ出す」や「やり過ごす」事に対しては、良い印象はないと思います。
でも、子ども時代って、なかなか理想的で立派な対処は難しいと思うのです。
そこで、「やり過ごす」について考えてみると、小さい時のやり過ごし方と、ちょっと大きくなってからのやり過ごし方は、かなり違っていますし、これがかなり「使える」方法だと気づきます。
子どもに辛いことや苦しいことを経験させて、そういう思いを、どうやり過ごすかを経験してもらわない限り、大人になってから、相当大変になることは明らかです。
先にも書きましたが、最近の子育ては、大人になってから大変になるのではないかと心配になるもの、時間と共に成長する子ども達が、必ず大人になる事をしっかり予想できていないものが多いように思います。
ぜひ、子どもが、辛いことや苦しいことに直面した時に、親御さんには、その辛さや苦しさをしばらく共感的に見守って頂けたらと思うのです。
「そんなに辛いのなら、やめていいで」「あんたがやりたいって言うてんから、あんたが決めや」と、そういう言葉をすぐには使わず、お子さんと一緒に、じ〜っと我慢してもらえたらと思うのです。
お子さんが苦しんでいるのを見るのは、親御さんにとっては、大変辛いかもしれませんが、少し我慢して、お子さんが、辛いことや苦しいことを、どうやり過ごすかを大らかに「失敗は成功のモト!」と、見守っていて頂けたらと思います。
子どもが大人になる前に、様々な「壁」を経験し、そのときの辛い思いや苦しい思いの数々を、自分なりに消化したり、やり過ごせるようになって大人になっていければ、壁や挫折、ストレスに対する耐性は、ぐっと向上するのではないでしょうか。
子ども達が、打たれ強く、逆境に強い大人に成長していくためにも、あえてちょっぴり、辛い思いを経験させるようにすることをオススメします。
by.Sarusen