大阪市鶴見区わらべ学童

指導員つれづれ
第88話
異年齢集団

石川県の「赤ちゃん登校日」という取り組みが、新聞にありました。

他人とのコミュニケーションが苦手な子どもが増えてくる中、言葉をまだ話せない赤ちゃんと正面から向き合わせ、「見る、聞く、伝える」能力を伸ばしていこうという試みだそうです。

わらべ学童では、毎年3学期の終わりに出会いと別れがあり、今年度も10名の6年生を「20回生」として送り出す予定になっています。

そして、入れ替わりでたくさんの新1年生たちが入所してきます。

新1年生は、どう頑張ってもわらべ学童では「一番下の子」であり、無意識も含めて、上の子達もそのつもりで向き合ってくれます。

こうして、「一番上の子」が去り「一番下の子」が仲間入りし、同時に各学年は順送りで、ひとつお兄ちゃん・お姉ちゃんになっていきます。

異年齢集団の中で日常を過ごし、少しだけ「見る、聞く、伝える」能力に長けているわらべの子ども達。

そこで一役買っているのが、どうやら「下の子」達の存在ではないか・・・と、冒頭の記事を読んでいて感じました。

かつては、「優しくされた経験がある子しか、人には優しくできない」とひたすら信じ、受け入れることや赦すことを、特に「上の子」に求めていた時期もありました。

しかし、異年齢集団の中では、必ず影響し合う上の子と下の子です。

上の子は下の子達に対して寛容であることを意識しながら、親切に関わろうとします。

一方で下の子は、そんな優しい上の子が大好きで、だからこそたくさんの影響を受け、上の子に憧れ、目標にしながら成長していきます。

上の子が下の子とコミュニケーションを取ろうとすれば、その拙い言葉を補い、随所に見られる幼い行動から本意を読み取ろうとし、少し上から(笑)「かわいいわ〜♪」等と言いながら、共に過ごす時間を楽しむに限る!ということになります。

そんな下の子との関わりの一つ一つが、上の子のコミュニケーション能力の向上に大いに貢献しているのです。

大人だって、また然り。

思えば、社会に出てから、自分自身が属してきた集団は、常に異年齢集団でした。

小学生時代から、そんな集団の中で生活し、周囲の子との関わりの中で、悩みながらもコミュニケーション能力を身につけることができる環境。

赤ちゃん登校日はありませんが、わらべ学童は異年齢集団だからこそ、身につく力や育つ心が、きっとあると確信しました。

by.Sarusen


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