大阪市鶴見区わらべ学童

指導員つれづれ
第90話
暗黙の理想

皆さんは、お子さんにどんな期待を持っておいででしょう。
たとえば、テストの点数は、何点とってほしいと思っていますか?
またテストの前は、どのくらい家で勉強してほしいと思っていますか?
そういう期待感を、心理学では「暗黙の理想」と言います。

小学生は高学年になるにつれ、授業の中でのテストがだんだん増えてきますが、特に国語や算数については、「多少は出来てほしい・・・」と思うのが親心。
具体的には、「平均点以上は少なくても取ってほしい」でしょうし、「100点とは言わなくてもできれば80点は取ってほしい」と密かに思ってしまうものではないでしょうか。
そういう期待感が「暗黙の理想」なのですが、この「暗黙の理想」が強ければ強いほど、子どもの結果をそれを基準にして評価しがちになってしまうもののようです。
そうなると、なかなか子どもの出した結果や行動を、プラスに受け止めることができないようになってしまうのではないでしょうか。

例えば、私の好きなサッカーに置き換えてみて、公式戦の1週間前、お子さんに毎日どれだけ練習してほしいと思うか考えてみます。
皆さんが一番練習してほしいと思っている時間を平均2時間とすると、ある親御さんは3時間だったり、2時間だったり、1時間だったり・・・その平均が2時間ということになります。
ではこの2時間には、どのような根拠があるのでしょうか?
2時間練習したからといって、試合の時、絶対にいい結果が残せる保証はありません。
ということは、「ただ2時間ぐらいやってほしいと思っているだけ」ということになりはしないでしょうか。
このぐらい練習しておけば「きっと試合で活躍できる」と無意識のうちに理想をもっておられ、この「2時間の練習」が、いつの間にか、子どもを評価する基準になってしまうのです。
普段は家ではほとんど練習しない子が、ある時思い立ってわずかですが15分練習したとします。
本来ならば頑張って練習したので褒められるポイントになるはずが、親御さんの「暗黙の理想」が2時間であったために、「まだまだ」「全然やってへんやん」という評価になって、わずか15分の練習であっても、少しモチベーションが上がった子どもに苦言を呈す・・・そんな気まずい結末になってしまうのではと思ってしまいます。

「暗黙の理想」を無意識の内にお子さんをはかる尺度にしてしまうと、だんだん子どもの努力をプラスで評価することが出来なくなってしまうのです。
子どもの努力を評価する時の鉄則は、まず「現状を基準」に評価することだと思います。
言うなれば、「昨日」を基準に、「今日」の状況を評価するということです。
子どものやる気を引き出すために、ぜひ、胸の奥底にある「暗黙の理想」に気付いて、ちょっと端に追いやり、子どもの現状から子どもの努力や行動を評価していくようにしてはいかがでしょう。
「昨日より今日」が成長していたらプラスの評価、マイナスになっていたら、そのままマイナスの評価をすれば良いのではないかと思います。
だって、親御さんからの評価を、誰の評価より気にして、期待して、当てにして、励みにする子ども達なのですから。

by.Sarusen


指導員つれづれindex⇒
トップページに戻る⇒
(C)わらべ学童 all rights reserved.