指導員つれづれ

☆第1話「ステージ・クリア」☆


ゲームの世界の用語ではありません。子ども達の成長の段階を表してみたつもりです。(笑)

先日、わらべ学童の3年生以上34名は、府下の施設をお借りして「リーダーズキャンプ06」に取り組みました。

自分達でプログラムをたて、サマーキャンプの中で作って食べる食事のメニューを決め、持っていく備品や食材のリストを作り、当日は自分達の責任でプログラムを進めるという取り組みで、別名「高学年の力試しの場」。初参加となる3年生にとっては「高学年への関所」というイベントです。

毎年、壮大な計画を立て、崇高な目標を掲げて取り組む彼らですが、現実はあまりにも厳しく、調味料や調理器具の忘れ物をはじめ、事前の準備不足から時間が超過してしまい、とんでもない時間に食事になったり、挙げるとキリがないほどの失敗の連続と、時期的に必ず降ってくる雨や蒸し暑さが集中力と体力を、また焦りが、あったはずの余裕を、容赦なく彼らから奪っていくのです。

それでも、指導員はじっと見守るだけです。危険な場合や指導を必要とする場面以外は、口さえ出しません。

「見守る」と書きましたが、グズグズしていればイライラするし、「ああ〜叫びたいっっ!!」とか、「山に入って所構わず木を切り倒してしまいたいっっ!」とかは常に思うし、胃や頭は痛くなるし、「なんでそうなんねん」と、悲しくなるし・・・という状況なので、もしかしたら「ジリジリしながら睨み付けている」のかもしれませんが・・・。(笑)

そんな我慢比べの中、彼らは、自分と仲間の知恵とわずかな経験を頼りに、必死になって頑張るのです。

思い入れが強いだけに、前置きが長くなってしまいました。ここからが本題なのです。すみません。

客観的に見れば、「なんでそこまで・・・」と疑問の声が上がっても仕方のないような状況、指導員も何度も悩みました。

しかし、8回目を迎えた今年、ようやく1つの確信が与えられました。

それは「子ども達の成長のプロセスに、様々な障害や逆境や抵抗を備えたステージは必要なのだ」というものでした。

子ども達への愛情について考えた時、様々な言葉に置きかえることができると思います。「抱擁」「慰め」「励まし」「支え」「慈しみ」「共感」・・・etc。

またその前には、「無条件の」なんて付くことも多いようです。でも、学校教育や家庭の子育てを見て、何か足りない感じがするのは、おそらく「鍛え」の色が薄いからではないでしょうか。

子どもへの愛情の中で「鍛え」は、どこか居場所を失ったようにさえ見えます。逆に、「鍛え」を取り除くことこそ愛なのだという風潮を感じることもしばしばです。

リーダーズキャンプでは、まったく放っておくのではなく「あとは何とかするから、やれるトコまで自分でやってみぃ!」と、背中を押してあげることで、彼らは思いきり挑戦し、結果的には挫折も経験します。

でもしたたかに、時にしなやかに折れることなく再び挑戦をはじめます。彼らの目標は「ステージ・クリア」なのです。

何度でも挑戦しなおす余地があり、一緒に頑張る仲間がいて、だからこそ立ち上がってこれる「真の強さ」。

これは、障害や逆境や抵抗なしには、獲得できない力なんだと確信しました。

高学年活動においては、「いい失敗をたくさんしよう!」という大きな目標がありますが、これは彼らにだけではなく、大人にだって当てはまる目標だと気づかされました。

「開き直る」のではなく、次につながるようにそこでしっかり考えること。どんなに気をつけていても、失敗することが多い人間だからこそ、失敗という地雷におびえながらそうっとそうっと歩くのではなく、やってしまった失敗がいい失敗につながるよう前向きに考えていきたいと思うのです。失敗って誰でも嫌なものですが…。

高学年の中では幼く見えた3年生も、心なしかひと回りたくましくなったような気がしました。

彼らは、また一つ「ステージ・クリア」したのだと思います。

もちろん、ゲームと違って「リセット」はできませんが、「再挑戦のチャンスは、いくらでもある」のです。

ここで付いた力は、間違いなく本物であると、いずれ彼らが証明してくれることでしょう!

・・・って言うか、お願いだから証明してよね。(笑)

ご協力頂いた保護者の皆さん。本当にありがとうございました。 by さるせん

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