指導員つれづれ

★第118話「主導権」★


1泊2日のリーダーズキャンプが終わりました。

3年生15名、4・6年生が各4名の23名全員が参加し、親元を離れて力いっぱい活動した2日間でした。

当日の朝、2名の遅刻者、手帳忘れ1名は3名とも初参加の3年生。

きっと、まだ親御さん任せの部分があったのではないかと推測します。

「主導権は子どもに」という説明だけでは、伝わらない部分でもあり、体験を通じて学んでもらうしかありません。

でも、「スタートで躓いても、3年生なら大丈夫」というのが、私たち職員の認識であるのは、必要以上に気にしなくていいよう配慮はいるのですが、活動の実態が分かっていない分、案外前向きに関わることができていた過去の3年生の姿を見ているからでしょうか。

現地に着くまでのバスの車中は、さながら遠足気分です。

到着と同時に全員で協力して、備品や食材を駐車場から離れたサイトまで運ぶことからプログラムが始まります。

慣れない大きなリュックやシュラフは自分の荷物だから仕方ないとはいえ、大きなクーラーボックスや段ボールの箱、鍋や調理道具・・・あえて1人で運ぶことができないように梱包されている備品を台車や人力を駆使して坂を下って登って、一番遠いサイトまで運ぶのです。

指導員は、一切手伝いません。

しかし、まだ子ども達の表情は明るく、ある意味、順調に頑張れている自分を「イケてる!!」と認識しているかのようでした。

簡単なオリエンテーションが終わると、早速昼食作りです。

ある程度練習できているとは言え、おぼつかない手元の3年生に、4・6年生が付き添います。

「早くかまどに取りかかったら?」なんて、指導員の助言は完全無視状態(笑)。

「イチョウ切りって何?」「しょうゆって、どうやって計るん?」「キューリどこ?」3年生からの超基本的な数々の質問に応える内に、時間は刻々と過ぎていきます。

「よし!やろう!」かまどの前に集まった時は、すでに11:45・・・昼食予定の15分前でした。

今回は、今までで最少人数、しかも未経験の4年生までいます。それでも練習の成果を発揮して、慎重かつ大胆に薪割りをした後、かまどの前に陣取って真剣に薪を組んでいきます。

「スタート!」の合図で先に火の手が上がったのはA班でしたが、あえなく鎮火・・・「あかん!ヤバい!」「あ・・・消えた!」

絶好のチャンスでしたが、B班は慎重すぎて、なかなか火力を上げることができません。

豪快な火で逆転したA班の記録は19分。

遅れる事10分、B班も全ての飯盒を炊き上げました。

しかし、こげ飯の多いA班、底までしっかり白ごはんのB班・・・という子ども達にもわかりやすい「明らかな結果」がそこにはありました。

どちらの班もリベンジを誓いながらの昼食になりました。

クィックカレーの出来にも差がありました。早さの差と鍋の底(焦げ方)の差です。

「よし!ほんじゃ~次は・・・」3年生も、期するものがあったようです。

夕食作りは4・6年生をさらに3年生から切り離し、3年生なりの主導権を発揮できるようにハードルをじわじわ上げて行きました。

「自分達次第」という状況の中、体力も知識も技術も、持っているものを全て注ぎ込んでいくのが感じ取れます。

ここまでくると、子ども達は相手の班との「勝負」にこだわっているというより、むしろ「完成度」や「質」にこだわっているのです。

だって、全ては「自分達次第」なんですから。

いつもキビキビ動けている訳ではりませんが、個人の集中力は班の総合力になり、思わぬ力を発揮することもあるのです。

A班は考えた末に2合ずつ6個の飯盒を15分、B班は4合ずつ3個の飯合を23分、そして全く焦げていない白くておいしいご飯を双方が炊き上げて、大満足のかまど競争となりました。

ふと時計を確認すると、予定時間の30分も早く食事の用意ができていました。

こんなに順調だったことはいまだかつて、指導員も経験がないレベルです。

後片付けでは、遅れがちな子、疲れている子を他の班の子が励ましながら、素早く確実に作業を終えようとする姿が見られていました。

夜のミーティングでは、誰もが「頑張った」「一生懸命やった」と、口々に報告していました。

6年生にもなると、「班のよかった所」「明日、頑張りたい所」にも触れながら、下の子を鼓舞する姿がありました。

「今年、何かいいよなぁ~」「見直しましたね・・・」「力あるなぁ~」職員からも思いもよらない感想が出ました。

きっと帰宅した子ども達は、親御さんからの「どうやった?」「おもしろかった?」の問いに、おそらくは「うん!」「おもしろかった!」「楽しかった!」と答えたことでしょう。

でも、その「おもしろい」や「楽しい」の中には、他とは違う、「本気になってんで」「自分でやってんで」と、主導権を手にやりきった「達成感」が詰まっている事を感じて頂けたらと思います。

親御さんの想像をはるかに越えたドラマがあった事にも、想像を廻らせていただけたらと思うのです。

さぁ練習は無事に終わりました。

本番は、あと1カ月後です。

by.Sarusen

バックナンバーへ戻る

HOMEわらべ学童とは入所のご案内指導員のご紹介指導員つれづれわらべ活動記録よくあるご質問アクセスお問い合わせページトップへ