☆第16話「気持ちを分かちあう」☆
先日、いつものように公園で遊んだ帰り、わらべの子ども達が遊んでいた傍らに、ポツンとかけられたジャンバーありました。
みんなに聞いても、誰のものか分かりません。
そこで、6年生の女の子が、「あの子達のかなぁ?」と、地域の子に「このジャンバー自分達のんと違う?」と、わざわざ声をかけに行きました。
すると地域の子は、「あぁ〜わざと置いててん」と、こともなげに言い、女の子の手から、ぱっとジャンバーを取ったのでした。
その行動には、正直「ムッッ!!」ときた指導員ですが、周囲にいた子ども達は、どういう対応をするかな…と様子を見ていていました。
すると、いつもはっちゃける事が多い3年生の女の子が、同じように「ムッッ!!」とした表情で、ジャンバーを渡しにいった女の子に寄り添っていきました。
他の子も、何も言わないながらも、やっぱり「ムッッ!!」とした表情で、周囲に集っていきました。
「みんな同じ気持ちになったんやなぁ。一人の嫌な気持ちを、みんなで分けあえたんやなぁ。分けあえたら、少し嫌な気持ち楽になるよなぁ」と、女の子達に言うと、さっきまでの「ムッッ!!」とした表情も、ピリピリしたムードも、スーッと和らいでいきました。
そして、口々に「あれはないよなぁ〜」とか、「まぁまぁまぁ・・・」とか言いながら、学童まで帰っていったのでした。(笑)
次の日、帰りの会の前に行なっている「※もしかめマラソン」の時間、1年生の男の子が、真剣に頑張っていました。
その子は、けん玉が得意ではなく、どちらかと言うと苦手なタイプですが、いつも真剣に頑張っている姿が、上の子達にはとても好評で、その子がもしかめを始めると、教えてくれる子や応援する子で、いつもちょっとしたギャラリーができていました。
その日はどういう訳か、「ヨチヨチ歩きのもしかめ」が、300回を超えてなお続いていました。
たどたどしい姿に、周囲の子にも緊張感が広がっていきます。
周囲が段々騒がしくなってくると、数を数えてあげていた2年生の男の子が、声を殺しながら「シーッ!静かにしたり!」と制します。
「・・・48、49、350!51、52・・・」ついに350回も超えました。
周囲には20人以上の子ども達が集り、ヒソヒソ声を合わせて、数を数えています。
上限の400回まで、あとわずか・・・。
真剣な表情でもしかめをする子と対照的に、周囲の子ども達の喜びのボルテージがガンガン上がっていきます。
最後は、もう大合唱!「・・・97、98、99、400!!やったぁ〜っっ!!」
跳び上がる子、拍手する子、2階のみんなに知らせに走る子、ばんざいする子・・・。
その子の弾けそうな笑顔を中心に、頑張りをたたえる喜びの輪が、部屋中に広がった瞬間でした。
子ども達が気持ちを分かちあっている時、そのストレートさや単純さ、また、矛盾しているようですが、その奥深さに驚かされます。
大人のように理屈がなく、変換して、あてはめるだけの国語力や、ボキャブラリーも「ないからこそ」のシンプルさ・・・。
まるで清らかな流れのように、すっと心の奥に染み込んでいくのだろうな・・・。
子どもってすごいな・・・。素敵やな・・・。
こんな瞬間に立ち合う時も、本当に「指導員冥利につきる!!」と、心底から思う指導員です。
それでも、まだまだ子どもに負けるわけにはいかないので、とりあえず常日頃から「心の洗濯」を心がけようと思いました。(笑) by さるせん
※もしかめマラソン・・・わらべ学童の冬の風物詩。けん玉の技「もしかめ」を1回=50cmで換算し、地図上を目的地まで走ります。05年と06年は、2シーズンかけて大阪府を一周しており、間もなくゴールする予定です。
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