☆第25話「時には足をとめて・・・」☆
11月に入り、各小学校では、学期の終わりが近づいてくる慌ただしさのためか、子ども達の放課後に少し変化が見られるようになってきました。
また一方で、親御さんもそれぞれのお勤め先で、年末へ向けてのラストスパートなのか、生活に少し変化が出てきたような・・・。
子ども達は、今までと比べれば、少しだけ落ち着いてきて、室内で一瞬でも、ゆっくり・のんびりすることを求めるようになりました。
親御さんはと言えば、延長保育のお迎えが軒並みに遅くなる傾向が見られはじめたのです。
季節は、秋。
ゆっくりと季節の移ろいに目をやれば、山々は紅葉し、朝夕の肌寒さは冬の訪れを予感させ、野山や海は、収穫の時を知らせてくれています。
「よし!今日はゆっくりするぞっっ!!」と、鼻息も荒く気合を入れてしまっては、いかにも不自然な気がしますが、自然界の法則と裏腹に、ただひたすらに慌ただしく時をやり過ごしては、かなりもったいないのではないか・・・という気がしていた今日この頃でした。
毎月の保護者会では、約1時間かけて「保育の報告」と、「子どもの様子」をお伝えします。
秋はやはり「成長の秋」ということで、「大きく変化しようとしている子ども達の姿を報告したい!」と、ついつい力んで11月の保護者会を迎えた指導員でした。
その若干空回り気味の指導員の思いを、とても大らかにくんでくださる親御さんが多かった事を、とても嬉しく思いました。
セチガライ世の中で、ふと足を止め、お子さんの成長に目を留める時、それは、路傍に咲く花を見つめるまなざしによく似ているなぁ・・・と気づかされました。
報告にじっと耳を傾け、話の中の場面を想像し、にっこり微笑んでおられる姿は、自然の営みとさえ思わせます。
どんなに力んでも、気張っても、自然の前では無力です。(笑)
子ども達の成長の栄養は、この優しいまなざしだと思わずにはおれません。
見守る優しさ、包み込む優しさ、人生の先輩として導く優しさ、時には叱る優しさ・・・その愛情の上に立って、ようやく子ども達は、一歩成長を遂げるのではないでしょうか。
これから冬に向けて、慌ただしさはさらに増すことでしょうが、「早く!早く!」と、子どもをせき立ててばかりでは、もったいない、もったいない・・・。
様々な不満や愚痴を聞かせるだけでは、もったいない、もったいない・・・。
時には足をとめて、子ども達の声に耳を傾け、子ども達の姿をじっくり見つめてみてください。
それはきっと、自然の中で、秋の風に吹かれるのと似ていることに、気づいていただけるはずです。 by さるせん
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