指導員つれづれ

☆第29話「夢の途中で・・・」☆


土曜日は、ちょっと遅ればせながら「成人式」でした。

「小学生相手の学童保育で、何で成人式?」だと思いますが、卒所した社会人のOB・OG達が集まり、新成人となった後輩を祝う・・・という毎年恒例の非公式行事があるのです。

第1回の卒所生が成人してから、しばらくは主催していましたが、メンバーも増え、いつの頃からか自主的に開催されるようになりました。

それぞれが幼馴染で、その子自身の紆余曲折を知った上での付き合いなので、卒所式とは違った思いがあり、また別の感慨深さがあるのです。

今回の新成人は1名でしたが、それを祝おうと多くの社会人OB・OGが集まりました。

酒を酌み交わしながらの、思い出話や近況の話は尽きることを知りません。

彼の夢は、日本料理の店を出すこと。

調理師の専門学校に通って必要な知識や資格を身につけながら、アルバイトしながら、彼の夢はますます現実に近づき、大きく膨らみつつある様子でした。

「俺が店出したら、絶対みんな来てや!」

何度も熱く熱く語る彼に、仲間達が応えます。

「おう!毎晩行ったるわ!」

「そら、迷惑やで〜!」

「そん時は、みんな集まるって言うたら、お前の店になるなぁ」

「うわぁ〜、俺、飲まれへんやん!(笑)」

社会人とは言え、まだまだ駆け出しの子も、人生の岐路に立っている子も、新しい一歩を踏み出した新成人に、それぞれが話をしていました。

大げさではなく、それぞれが「今の自分自身を懸け」て、真剣に打ち込む夢を見つけた彼らは、とても輝いて見えます。

また、その夢をまだ「検索中」の子も、その姿を見て、もう一度奮い立つことができたらと思います。

今回集まることができなかったため、電話で参加した子が2名。

看護師の国家試験1週間前の子と、安定期待ちの妊婦さん・・・。

彼女たちもまた、夢の途中で、頑張っているのでした。

1軒目を出たところで、新成人の子のお父さんも呼び出して、大騒ぎ・・・となったのですが、あまりの酒量に「人間ちゃうわぁ〜」と、全員が「わらべ学童を支えてきた親父のすごさ」を、ある意味見せつけられ、白旗を上げつつ解散となりました。

二日酔いで痛む頭を抱えながら考えたのは、「夢に向かってひた走っている時は良いけど、夢の途中で立ち止まった時こそ、こんな仲間がいることが、間違いなくその子の力になるやろうな」ということでした。

全員が、未完成の、不十分で、不完全な存在ではありますが、その不安定な基礎の上に立っている者同士だからこそ、また、そんな中でも、成長のベクトルは同じだからこそ、心から共感し、支え、励ますことができるようになってきていることを感じたのです。

年齢が倍ほど違う新成人を祝いつつ、もうしばらく、わらべの指導員として居座り、彼らの前途を見守りつつ、「いつでも帰って来いよ♪」なんて、言えたらいいなぁ・・・いや言い続けたいと思いました。 by さるせん

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