指導員つれづれ

☆第30話「プラス・アルファ」☆


先日、毎年恒例の卒所旅行に、5・6年生8名と指導員で行ってきました。

準備段階から、会議の時、メンバーがきちんと揃わなかったり、肝心の宿舎が、なかなか予約できなかったり、波乱を予感させる状況でしたが、そこは全員が「高学年活動の旅行経験者」ということもあって、総崩れになることもなく、当日を迎えることができました。

前日まで続いた準備のために、遊ぶ時間をほとんどつぎ込んできた中心メンバーは、当日の朝、本当に晴れ晴れした表情で登所してきたのが印象的でした。

今回の目的地は、兵庫県の城崎温泉・・・「なんとまぁ〜シブい!」という声が聞こえてきそうですが、今回はあんまり遊園地(特に絶叫系の乗物)が好きではない子もいたので、みんなで配慮し合ったという彼等なりの事情もあってのことなのです。

移動時間は長かったものの、順調に1日目の目的地に向かいましたが、次第に雲行きが怪しくなり、日本海に面したマリンワールドでは、時折、悲鳴を上げるほどの雪と風になりました。

「アンタ達の日頃の行ないが出てるよねぇ・・・」と、指導員に嫌みを言われながらも、気にも留めない様子で、館内で展示やショーを見て回る子ども達は、プログラムを変更(これに関しては必要性が不明なんですけど・・・)してお土産を買い、今夜の宿に向かいました。

宿では、すぐに夕食の「但馬牛のすき焼き」に、大はしゃぎ。

その後のミーティングでは、時間の使い方の悪さを指導員から指摘されて、次の日のスケジュールを確認したり、細かく目的地を決めたりしていました。

ミーティングの後、終了時間まで天然温泉を楽しんで、「朝風呂行こなぁ!!」と約束して就寝しました。

翌日は、6時過ぎから温泉に入ったり、部屋でゆっくり過ごした後朝食をとり、定刻に宿を出発し、外湯を楽しもうと再び城崎温泉へ向かいました。

すると、どういうわけか、温泉街の中でもいちばん駅から遠い、「御所の湯」まで遠足することなりました。

しかし、道中の店や街並みも見ず、ただ黙々と雪の中を歩くだけの子ども達の様子に、指導員のイライラもつのります。

それは、前日のミーティングで、「1分1秒を大切に!」という目標を掲げていたからこそ、時間を有効に使えるようにと、「重たいし、ロッカーに荷物入れたら?」「知ってる?駅弁は安くておいしい順に売り切れるねんで」「早く温泉に入ったら、湯冷めするかもしれんし、最後の方にしたら?」などなど、そっと指導員が電車の中でアドバイスしていたからなのです。

にもかかわらず、重たい荷物を背負い、駅弁も買わず、早々に温泉を目指して、辛そうに歩いているなんて・・・ついに、「いったいここに、何しに来たん!?」と、雷が落ちました。

結局、荷物を抱えたまま移動を続けましたが・・・、結局、また来た道を駅まで戻って、人気の駅弁を買うことができましたが・・・、結局、駅の横の足湯と温泉には入れましたが・・・、結局、大阪まで無事に帰ってくることができたし・・・、結局、当初の計画はすべて実行してきたのですが・・・。

何か満足感を感じることができない指導員は、悩んでしまいました。

アドバイスを無視されて腹が立ったわけではないし、重い荷物を持たされ続けてイラッときたわけでもないし、寒い中歩かされてストレスを感じたわけでもないのに・・・。

そう、「貪欲にプラス・アルファを求める姿勢が欠けていた」事が、残念で仕方なかったのでした。

翌日、帰りの会でみんなに話しました。

「10個の計画があって、9個しかできなかったら残念やけど、10個やり切れたら、それは満足やんね?」

「でも、10個の計画があって、11個、12個ってやれたとしたら、めっちゃ満足やろ?そのまんまできてもうれしいけど、プラスしてやれて、さらにうれしいんやったら、そっちを目指してみてほしいなぁ〜」と、話すと、来年、卒所旅行に行く「予定」の、現4年生たちの目がキラリと光りました。

彼らは、リーダー旅行の時、「失敗もデカいが、プラス・アルファもデカかった」メンバーです。(それはそれで、どうなのぉ〜なんですけど・・・笑)

そんな「二男坊‘S」達のせいで、すごく堅実路線の5・6年生になった・・・とは思いませんが、あまりにも対照的な気がしました。

それでも、見知らぬ街にドキドキしたり、新しい体験にワクワクしたり、仲間との思い出作り真っ最中の彼らの表情は、6年生とは言え、とっても可愛らしく、「まだまだやなぁ〜」と思っていても、近づく別れにジンとくるものがあるのです。

「プラス・アルファを期待するほど、今回の旅行のことを指導員は予見できていたのだろうか・・・」

それは、指導員の「大人のエゴ」なのかも・・・。

そんな疑問も残ります。

「卒所旅行でまで、怒っちゃってごめんね・・・」チャンスがあったら言おうかな(笑)。

学童にやって来て、一緒に過ごせたことが、彼等の「プラス・アルファ」になることを祈りつつ、6年生最後のイベントが終了しました。 by さるせん

バックナンバーへ戻る
HOMEわらべ学童とは入所のご案内指導員のご紹介指導員つれづれわらべ活動記録よくあるご質問アクセスお問い合わせページトップへ