指導員つれづれ

☆第45話「成長を分かち合う」☆


週末に教え子の二人が、晴れて結婚することになり、結婚式に参加させていただきました。

新郎は、Reunionの現リーダー。

新婦は、わらべ学童職員の「さき姉」です。

彼らが中心になって企画した、結婚式と披露宴は、周囲の仲間たちを巻き込んで、手作り感たっぷりの、大変アットホームな式でした。

随所に周囲の仲間からの祝福と、新郎新婦から仲間への感謝があふれていました。

新郎は、職員の中で歴代やんちゃ坊主の上位に、間違いなくランキングされる、「筋金入りのやんちゃ」でした。

1年生の時から、デカい上の子と平気でけんかするわ、ランドセルはからっぽで帰ってくるわ、寄り道して行方不明になりかけるわ、周囲の子に手足は出すわ、一度すねたら木の上からおりてこないわ、夏休みの宿題は工作以外まったくしないわ、道端で拾い食いはするわ・・・決して言い過ぎではなく、まだまだ足りないくらい。

ご自分のお子さんが・・・と考えると、背筋が凍るでしょ?(笑)

よく、お母さんともひざを突き合わせて、どういう対応をしていこうかと悩んだものです。

でも彼のとり柄は、「明るく、元気」そして「人一倍、仲間を大切にすること」、それと「なぜかニクめない奴」かな。(笑)

新婦は、彼よりちょっと年上。

時に自己肯定感が低く、落ち込む時は、周囲が自らに酔いしれてるのではないかと思うくらい、がっつり落ち込む半面、いい加減で自己顕示欲や自己主張が強く、クリスマス会で、自分が出し物をしている時の保護者の私語が許せず、低学年ながらマイクで「アタシ達、ちゃんと練習して来たんやから、ちゃんと聞いて!」と一喝し、指導員を凍りつかせたことがあったりもした、自他共に認める「負けず嫌い」でした。

大きな病気や様々な問題を抱えた時期もありましたが、これまで文字通り「真剣勝負」の付き合いをすることができて、今では、「良き理解者」として、自分自身にとっても大きな存在になりました。

自分自身が大きな苦しみを背負い、周囲の事を全く考えられず、全部投げ出してしまおうかと思った時期に、彼らは片時も離れず、私が吐くため息を、一番そばにいて一緒に呼吸してくれました。

CDや雑誌を手に、毎日のように病室に集まり、ただ他愛もない話をして帰って行きました。

そんな経験を通じて、いつしか、支えているつもりが支えられている・・・「教え子」や「卒業生」をはるかに超えた存在として、一言で説明できない間柄になって行きました。

スポットライトの中の二人は、本当に晴れやかな笑みを浮かべ、周囲からの祝福に応えていましたが、その姿に20年余りの間の出来事が、どんどん重なり、目頭が熱くなっていきました。

「本当によく成長したなぁ・・・」「おめでとう・・・」「幸せになるんやで・・・」「よくがんばったね・・・」「よかったなぁ・・・」どんな言葉をかけても、表現しきれない喜びの大きな塊が、体の中でいくらでも膨らんでいく感覚がありました。

披露宴のお色直しでは、新婦のエスコート役に指名されるというサプライズ・プレゼントがあり、照れくさいやら嬉しいやら・・・。

新郎は、そのエスコート役に、両家のお母さんを指名するという心憎い配慮に、またまた感動しました。

披露宴の最中に、何度となくご親族の皆さんや会社の上司の方と話をさせていただきましたが、本当に彼らの成長を喜び、物心両面を支えて下さっている方々の多さに驚かされました。

彼らは、親御さんたちが築き上げた人間関係の上に、さらに自分たちが築いた関係を、重ねている事が見て取れました。

わらべ学童の中心で頑張ってこられたご両親が、その中で得たたくさんの仲間の皆さんと、成長を分かち合っておられる場面や、Reunionのメンバーが、我が事のように喜び、互いの成長を確かめ合っている姿には、改めて「わらべ学童のすごさ」を感じずにはおれませんでした。

久しぶりに会ったOBとも酒を酌み交わしながら、たくさんの話をしましたが、その彼が一言「さるちゃん・・・結婚ってすげぇな・・・」と呟いていたのが、とても印象に残りました。

彼も近い将来、たくさんの思いがつまった、良い式を挙げることでしょう。

「見た目」や「世間体」、「地位」や「名誉」や「肩書」・・・できれば手にしたいものが多い中で、何に重きを置くかで、生き方が決まります。

「挫折」や「寄り道」や「やり直し」は、できれば経験したくないけど、人生に深みを与え、自分の生き方を見つめ直す良い機会です。

「愛情」や「情熱」や「夢」だけで、生きていける人は現実にはいないのですが、なくてもまた、生きていくことはできません。

「挫折」を知るからこそ周囲の「愛情」に気づくことができ、「寄り道」しながら「情熱」を燃やすチャンスをうかがい、「やり直し」て再挑戦する時こそ、「夢」や「目標」が具体化していくとすれば、無駄はないのかもしれないと思いました。

彼らの周囲の皆さんの温度の高さこそ、彼らの温度なんだと確信し、よく笑いよく泣いて、何かしら元気をもらった一日でした。(笑) by.Sarusen

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