指導員つれづれ

☆第9話「共感の輪」☆


先日、保護者の方と話していて、とても心が温かくなる話を聞きました。

学童には、様々な子ども達がいますが、入所当時、とても気になる子がいました。

他の子とあまり関わろうとしない、一人遊びがとても大好きな男の子です。

あまり感情の起伏を表情に出さず、指導員が優しく話しかけても、なんとなくこわばった感じになってしまうのです。

「他の子には、興味がないのだろうか?」「自分一人で遊ぶのは、そんなに楽しいのだろうか?」指導員は気になってしかたありませんでした。

3ヶ月ほど様子を見守っていましたが、ようやく「人と関わりたくないのではなく、関わり方がわからないんだ」ということがわかってきました。(ここでは、本題から離れるので、詳しく書きませんが、この事がわかるまでには、たくさんの葛藤と紆余曲折がありました。)

上の男の子達にも働きかけながら、ゆっくりと時間をかけ、「一緒に遊ぶ」ことの楽しさを伝えていきました。

すると、今までの行動がうそのように、みんなで遊ぶ事が楽しくなってきて、休みの日も約束をして、わらべ学童の子同士で過ごすようになりました。

表情もとても豊かになり、何よりもよく笑いよく歌うようになりました。(鼻歌はご機嫌のバロメーターです♪)

先日、夏休みから練習してきた「組曲 ぞう列車がやってきた」の発表がありました。

会場となった中学校の体育館には、満員のお客さん。そして、少し緊張した表情を浮かべるわらべ学童の60名と他施設の大人と子ども、合わせて210名の合唱団の熱気が溢れていました。

本番は、指導員も歌ったり、子どもを誘導したりで、表情を見る事ができなかったのですが、お母さんが話してくれました。

なんとなく落ちつかず、あまり大きな口を開けて歌おうとしなかった男の子を見て、お母さんは「あんまり(歌詞を)覚えてなかったん?」と聞きました。

するとその子は、「泣きそうになったから、ごまかしてた・・・」と答えたというのです。

誰よりもその子の事を知っているお母さんもこれには驚いたといいます。

「この子が、泣くほど感動を覚えたことに、正直驚いた」と。

合唱の指導にあたり、指導員は「心を合わせて楽しもう!」と、言い続けてきました。

人と関わるのが不器用で苦手で、でも時間と共に多くの仲間に囲まれて笑顔で過ごすようになり、心を通わせる経験をつみ、居心地の良さを感じて過ごし、成長してきた日々。

大合唱の中で広がる大きな共感の輪の中で、彼の心に沸きあがってきた感動に思いを馳せる時、指導員の胸にも熱いものが込み上げてくるのです。

共感の輪…一緒に楽しむスタンスの中で「心を合わせる」ことができた時にだけ、心の中に広がる波動。

ぞう列車の取り組みを通じて、歌った子ども達と見ていただいたお父さんお母さんたちの間に、時間と空間を超えて伝わるものがあったのではないかと思っています。 by さるせん

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